[006]
日本共産党 山口武秀
中間報告書は、前に配付されましたのが、本日またあらためて訂正されたものとして配付されまして、これを十分に検討するに必要な時間的余裕を持ち得なかったことを、きわめて遺憾とするものであります。
(中略)
さらに、この内容について申し上げますが、先ほど申しましたように、日共と事件というものを、何らの論理も証明もなくて、断定的に結びつけているということ。さらに、栄養分析表というような言葉を使ってありますが、栄養分析表が日本共産党の秘密出版物である、これは一体どこでこのような断定を下すのか。
かりにそうだとしても、当委員会がこのような断定を下していいものかどうか。もっと論拠を明確にする立場をとるべきじゃないか。ほかの一切の政府の機関が不法なことをしようとも、当委員会としては、最も厳正な立場であるべきじゃなかろうか。当委員会みずからが、そういうようなルールを破るということでは、当委員会のためにきわめて遺憾であるし、このようなことに反対せざるを得ない。
さらに、メーデー事件におきまして、人民広場の奪還という問題が、共産系の分子の目標だということを言っておりますが、これも独善もはなはだしい。メーデーの大会におきましては、人民広場の奪還ということは、参加者数10万の大衆が満場一致で決議している事項である。これを共産党だけを目標としてこね上げをするようなことに対して、これは意識的に政府の政策を守り、あるいはアメリカの支配を強化するというような目的からこの結論が書かれたのではないか、このように考えられるのであります。
(中略)
調査状況の一方的なでっち上げだということ、当委員会のあり方から見ましても、この問題は承服しがたいということ、そのような意味におきまして、さらにこれは中間報告でありますので、最終報告が出ると思いますが、私の討論は最終報告の際に本来のものは譲るといたしまして、それだけの理由をもちまして反対いたしておきます。
[007]
委員長 内藤隆
田渕光一君。
[008]
自由党(自由民主党) 田渕光一
ただいま日本共産党を代表して山口君から、(「代表してと言わんぞ」と呼ぶ者あり)代表じゃないのか――代表でなく、山口君から反対の討論がございましたが、反対の理由として、当委員会が厳正公平の立場を欠いており、一方的な独断というような御論旨でありましたが、当委員会としては、最も厳正公平にあらゆる資料を集めて科学的に、論理的に進めた結果、中間報告ができたものであることは、数回の証人の取調べ、あるいは当委員会に出されたところの証拠物件等において明らかであります。
あたかも日本共産党が関係ないがごとき白々しいことを言っておりますが、これこそ盗人たけだけしいというものでありましてあの証拠物件中、日本共産党中野地区委員会というところの赤旗、あの赤旗の3メートル近いさおの先に30センチないし40センチの金具がつけられておったことも事実であります。また暴行に用いられたところのあらゆる物件におきましても、日本共産党何々地区委員会というものがはっきりいたしております。
もちろん証人はいずれも治安当局の関係者であり、ことに事案がただいま取調べ中でありますから、疑って調べているという以外に証言はできなかったと思いますが、本年の1月21日札幌の白鳥事件以後ずっと全国的に起りました事件は、すなわち日本共産党の秘密出版物である「球根栽培法」さらに「栄養分析表」というものによって、日本共産党の地区委員会がこれを指導し、地方細胞がこれによって中核自衛隊を行動させていることは、明瞭になっておるのであります。
これを捜査過程において、治安当局の証人といたしまして、断定的なことは下されないのはもちろんであります。しかしながらわれわれが慎重に調べました結果、最も公平厳正の態度から、当委員会としての品位の保持上、あるいは権威上、こういう中間報告を作成いたしたのであります。かような意味で、決して共産党の反対するがごとき、人民広場を奪還することを数10万の者が決議をいたしておると申しておりますが、ただメーデー当日に外苑において、こんとんとしてマイクを奪取してしまった、一般大衆に徹しないところにおいて、2、3の者がただ放言したにすぎないのであります。それがゆえに、あのデモ隊が、約20万と称せられておりますが、東、西、南、北、中央の5班にわかれて分散行動いたしまして、これが完全に終っておるということを見ましても、決して大衆は人民広場を奪還しようというようなメーデーでなかったということは事実であります。ことに日比谷の解散後において、全学連並びに自由労組、北鮮系尖鋭分子の扇動によってこれをやったということは事実でありまして、中間報告の通りであります。
かような意味におきまして、山口君がいろいろ根拠なきことをもってことさらに反対いたしておりまするが、数回の調査によって明瞭でありまして、この委員会の中間報告に私は賛成いたすものであります。