[032]
自由党(自由民主党) 内藤隆
本委員会は、早急にメーデー騒擾事件の真相の調査に従い、これを中心議題とするほか、蒲田事件、長野事件その他もあわせて監察を行う委員会を開催しましたが、その結果は
1、前記各種事件は、いずれも日本共産党の新綱領と軍事方針に基くいわゆる軍事活動の一環として計画されたものであること。
2、日本共産党は、最近の国際情勢の変化に対応し、民族解放、民主統一戦線を当面のスローガンに掲げ、平和運動の名のもとに反米抗争を展開し、特に学生、婦人層に働きかけつつあること。
3、労働者、農民、特に自由労務者の経済的要求あるいは日常生活の不平不満を取上げて、たえずいわゆる大衆の自衛抵抗闘争の展開を広汎に企図していること。
4、右自衛抵抗闘争を強力ならしめるために、職場、学校、部落等にいわゆる中核自衛隊を結成し、さらにこれを人民軍パルチザンに発展せしめるため、府県、地区等に軍事委員会を組織しつつあること。
5、警察官、駐留軍の武器奪取を指令するとともに、栄養分析表等の秘密出版物により、広汎にわたって催涙ガス、火炎弾等の製造法、使用法が指示され、すでに相当量が準備使用されていること。
6、陽動作戦並びに遊撃作戦の訓練が施され、かつその技術が巧妙になりつつあること。
7、民主的労働組合、団体等を内部から切りくずし、その指導権を握ろうとし、また集会、行進等の機会を利用して暴動化をはからんとしていること。
等でありますが、特に最近の事実として注目されるものは、北鮮系在日朝鮮人との間に日鮮共同闘争の態勢が確立し、在日朝鮮人が日本共産党の最も有力な尖兵となりつつあり、幾多の恐怖戦慄すべき事態を引起したことであります。(拍手)
すなわち、北鮮系在日朝鮮人の間に祖国防衛隊並びに祖国防衛委員会組織が急速に伸びつつあること、在日朝鮮人に対し、強制送還を歪曲して宣伝、煽動することによって、北鮮系朝鮮人勢力の拡大と日共勢力の浸透を企図していること等の事実が指摘され、在日朝鮮人の問題は、新生日本の治安の警備の上の重大な問題として、その対策を講ずることが焦眉の急務であると痛感されたのであります。
以上のような事態に対しまして、治安担当の各機関の状況はどうかと申しますと、第1に、治安機関は一般に自己の権力を過信しやすく、日本共産党の非合法活動を過小に評価して楽観的観察をなす傾向があります。第2に、日共、中共その他の文献に現われた戦略戦術等の研究が不十分なため、ややともすると彼等の遊撃作戦、陽動作戦に乗せられる弱点を示したのであります。第3に、冶安当局の機動力の充実その他装備の点に一段の改善の余地があることが認められたのであります。